ヒト静止立位姿勢の制御メカニズムの解析

 私たちは、ヒトの直立姿勢を動的に安定化しつつ、同時に運動の柔軟性も確保できる神経制御メカニズムの新しい仮説「静止立位姿勢の間欠制御仮説」を提唱しています。 本研究は、”典型的な神経疾患であるパーキンソン病患者が呈する姿勢反射障害やすくみ足は、脳が間欠制御を適切に行えなくなったことにより発生する”との仮説を立て、その妥当性を検証することを目的としています。 本研究の成果は、動的神経制御メカニズムに基づく、運動障害の新たな定量的診断手法の開発に直結します。

3次元モーションキャプチャシステムによる運動解析

 私たちの研究グループでは、実験システムとして実時間処理方式の3次元モーションキャプチャシステムを導入しています。これにより得られる、身体に貼付されたマーカの時空間情報を利用して、計測した身体運動時における身体の各部位の姿勢を推定することができます。さらにこのシステムには、ダブルベルトトレッドミルと無線電極式筋電図計測システムが組み合わされており、身体運動時の床反力と筋電図を同時計測することが可能です。この計測システムを用いて、ヒトの運動時の様々な生体信号の計測および解析を行っています。

動的生体情報の解析

 我々の心臓の拍動リズムは,安静時であっても循環,呼吸などを制御する自律神経系の働きを反映して絶えずゆらいでいます.自律神経系の不調は致死性不整脈を誘発することが知られており,心拍リズムのゆらぎ(心拍変動)の分析を通じた自律神経活動の評価を健康リスクの推定に役立てることが可能です.本研究室では,そのような心拍変動だけでなく,脳波,血糖値,身体活動量などの生体信号の動的特性を分析し,臨床的に応用するための技術を開発しています.

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